岩波酒造合資会社
長野県松本市里山辺5159
TEL 0263-25-1300
ホームページ https://iwanami-sake.com/
オンラインショップ https://iwanami-sake.shop-pro.jp/
西に槍ヶ岳や穂高岳など秀麗な山容と峻険な稜線を誇る北アルプスを望み、東に美ケ原を中心とした高原に囲まれた国宝松本城を有する城下町松本市。その郊外、山辺の里で、明治5年の創業から地元で長く愛されている酒を造り続けて148年。清酒「岩波」や「鏡花水月」で知られる、岩波酒造合資会社の小岩井昌門専務と佐田直久杜氏をお訪ねし、お話をお聞きしました。
電柱広告はお役に立っていますか?
岩波酒造がある里山辺地区は、松本駅や松本城から少し離れていますが、市内各所に掲出している「岩波」の電柱広告を目に留めていただいたお客さまが、蔵元を訪ねていただく動機づけとして十分役立っています。また、電柱広告は古くから街づくりに役立っていると感じています。
ホームページ、SNSを活用されていますね。
若手の社員が中心となってホームページやSNSを充実させてくれています。おかげでオンラインショップも好調です。また、佐田杜氏の「岩波酒造 杜氏のブログ」は、四季折々の酒造りの様子に加え、松本平の風景から山菜・きのこの収穫状況まで幅広い話題で、この地の良さを感じていただける内容となっています。
この地で酒造りを始められたのはなぜですか?
創業当時、この地域では酒を運ぶのに舟運搬が使えないため、1~2km毎に酒蔵が点在しており、その数、1千数百を数えたと言われています。この頃、日本の租税収入における酒税の割合は非常に高く、明治35年にはおよそ3割強を占めるなど、国家財政における重要な財源に位置付けられ、日本が近代国家として発展する過程において重要な役割を果たしていたそうです。
小岩井家は、この時代、美ケ原に源を発する薄川の上流に位置し、清冽な水が豊富なこの地において手広く米づくりをしていたことが蔵元としての始まりになります。
酒造りに携わる人について教えてください。
岩波酒造は、創業してから永らく新潟県から杜氏はじめ蔵人を迎え入れていました。しかし、全国的に杜氏の技術継承と人財育成が年々深刻な問題となっていることから、岩波酒造では、15年ほど前から社内における人財育成に努めてきました。現在は、サラリーマン出身の佐田杜氏と成長著しい若手社員による新しい感性を反映した酒造り体制となり、「和を以て良い酒を醸す」の言葉どおり、杜氏と蔵人が一丸となって、緊張の中にも笑いの絶えない温かい「蔵」で理想の酒造りを追い求めています。
数々の受賞歴がありますね。
春の全国新酒鑑評会における金賞受賞や、秋の長野県清酒品評会での長野県第1位など、方々で評価をいただいています。また、昨年は、長野県甘酒鑑評会において、最優秀賞をいただくことができました。清酒・甘酒ともに長野県第1位をいただいている酒蔵は、県内でも岩波酒造だけで、麹の良さから評価に繋がったものと思っています。
酒造りの条件を教えてください。
松本市は、周囲を3000m級の高い山に囲まれた、内陸性気候の街です。年間を通して湿度が低く、晴れの日が多いという安定した気候です。ただし、冬は放射冷却現象により、朝晩の気温がかなり低くなり、肌を刺すような厳しい気候となります。
岩波酒造の清酒は、この厳しい条件の中、安曇野産の酒米で長野県独自品種の「ひとごこち」や「山田錦」を伝統の技と最新技術で醸し、涼しい酒蔵の中でじっくりと熟成させています。
酒造りで大切にしていることは何ですか?
清酒の消費量は、昭和48年をピークに年々減少しています。各地域の酒蔵が単独で存続すること自体、非常に厳しい時代ですが、岩波酒造では創業以来、自醸造100%のポリシーを守り続けています。
古くから城下町松本では、「晩酌の定番」と言えば「岩波」と言われてきました。近年、佐田杜氏体制になってからは、多様化するお客さまの嗜好に対応すべく、伝統の技と新しい技術を結合し、「飲み飽きない酒」を引き継ぎながらも「ウマミとキレが調和する酒」をテーマにしています。お客さまに美味しさと喜びをお届けするため、「造り」「貯蔵」「ビン詰め」「営業」すべてを大切にし、お客さまの声に耳を傾け、これを成長の糧として酒造りに励んでいます。
どんな銘柄がありますか?
岩波酒造の主な銘柄は、創業より引き継いできた「岩波」や、「岩波」とは異なるコンセプトで立ち上げたブランドで、純米吟醸、吟醸、大吟醸の3種に特化した「鏡花水月」、さらには、四季折々で変化していく酒質を楽しんでいただきたいとの思いで立ち上げたブランド「1873(イワナミ)」、幅広く無濾過のお酒の魅力を伝えたい無濾過蔵出しを前面に表現した「いわなみ」があります。そのほかにも、甘酒・焼酎・梅酒なども展開しています。